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過去の交通事故後遺障害残存を否認し新たに14級後遺障害を認めた判例紹介

○平成18年6月の交通事故で頚椎捻挫,腰部挫傷等の傷害を負い,同年11月17日に症状固定し「局部に神経症状を残すもの」として14級9号の後遺障害認定されていたところ、平成26年11月9日の交通事故で外傷性頚部腰部症候群,両側僧帽筋損傷等の傷害を受け、平成18年の事故による症状の残存はなかったとして、新たに頭部,頚部,腰の痛み,両上肢の肩から指先までのしびれについて,14級相当の後遺障害が残存したと認めた平成29年4月21日名古屋地裁判決(交通民集50巻2号470頁)の理由部分を紹介します。

○「局部に神経症状を残すもの」として14級9号の後遺障害の労働能力喪失期間は、本件会社側は3年程度、裁判例でも5年程度が多く、10年を認める例は、殆どありません。ですから過去の14級「局部に神経症状を残すもの」の8年経過すれば、症状残存はないと評価されて当然です。

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3 争点(2)(A事件原告の後遺障害の有無・程度)
(1) 前記前提事実,証拠及び弁論の全趣旨によれば,A事件原告は,本件事故後,平成26年11月10日に山本整形外科を受診し,外傷性頚部腰部症候群,両側僧帽筋損傷,両側大後頭神経痛,頚髄浮腫等と診断され,同日から平成27年4月23日までの間,同院において,上記傷病に関し継続して痛みを訴え,投薬,リハビリ,トリガーポイント注射等の治療を受け,同日,山本整形外科において症状固定と診断されたこと(甲6ないし19),現時点においても,頭,首,腰の痛み,上半身から指先にかけてのしびれがあること(甲46,A事件原告本人5頁以下)が認められる。

 このような症状の一貫性及び治療経過等に加え,本件事故態様(前記1参照)や車両の損傷状況(甲22,27,28,乙8)からすると,A事件原告は,本件事故により相当な衝撃を受けたと認められること,また,四日市労働基準監督署の調査官の意見内容(前記前提事実(3))や医師の意見書(乙11)等も考慮すると,A事件原告の上記症状は,医学上説明のつくものであり,将来においても回復困難と見込まれるといえ,14級9号相当の後遺障害が残ったものと認めるのが相当である。

(2) 他方,A事件原告は,本件事故以前に,以下のとおり受傷したことが認められる。
ア 平成2年11月10日,左大腿骨骨折,右踵骨骨折及び左肩挫傷等の傷害を負い,平成6年3月31日に治癒し,併合8級(下肢の複合部位)の障害等級認定がされた。平成19年2月26日に左膝関節痛等が再発し,同年6月に左大腿骨抜釘と左膝関節鏡視下手術を行い,平成21年4月30日に再治癒した。平成22年6月7日,左膝痛が悪化したと訴えて,いなべ総合病院を受診した。(甲26,39,40)

イ 平成18年6月28日,交通事故に遭い,頚椎捻挫,腰部挫傷等の傷害を負い,同年11月17日に症状固定となり,頚椎捻挫後の両頚部から上肢にかけての痛みと指先のシビレ感,偏頭痛等の症状に対し,「局部に神経症状を残すもの」として14級9号の後遺障害認定がされ,腰部挫傷後の腰痛等の症状に対しても,同様に同号の認定がされた(甲37,乙5)。

ウ 平成20年頃,交通事故に遭い,左橈骨骨折の傷害を負い,平成21年9月頃まで通院した(甲38)。

エ 平成23年10月29日,ハンマーでたたいたことにより,左第5指末節骨骨折の傷害を負い,平成24年4月27日に症状固定となり,骨折部位に痛みが残存,骨癒合不完全とされた。その後,平成26年3月12日及び同年5月2日に痛みを訴えて受診した。(甲41,42,44)

オ 平成25年5月13日,資材の間に右小指を挟んだことにより,右小指マレット指,末節骨骨折の傷害を負い,同年11月12日に症状固定となり,右小指の神経障害について,右小指末節骨は骨癒合が得られておらず,偽関節となっており,それに伴う周囲の膨張が疼痛の原因となっているとして,「局部に神経症状を残すもの」(14級の9)と認定された。平成26年2月13日頃時点で,右小指可動時に右小指全体に疼痛を感じる,右小指に力を入れたり物が当たったりするとしばらく動かせないくらい疼痛を感じる,冷えると右小指が紫色になり,右手首まで疼痛を感じる,長いパイプが持てないなどの症状があった。(甲35,43)

カ そこで検討するに,本件事故による症状は,頭部,頚部及び腰部の痛みと,両上肢の肩から指先までのしびれであるところ,前記イについては,同様の部位について14級9号の後遺障害と認定されている。しかし,その後遺障害の内容及び程度,その症状固定日である平成18年11月17日から本件事故まで8年程度経過していること,星野整形外科の平成21年5月12日付の診断書(甲39)には,頚部痛,腰痛が残存している旨の記載があるが,それ以降,カルテ等(甲38ないし45)には当該症状に関する記載は見当たらないことなどからすると,本件事故時において,上記平成18年の事故による症状の残存はなかったと認めるのが相当である。
 また,前記ア,ウないしオについては,その受傷時期,治療経過及び症状内容等を考慮すると,本件事故の後遺障害による労働能力喪失状況等に影響を与えるとは考え難い。


(3) 以上から,A事件原告は,本件事故により,頭部,頚部,腰の痛み,両上肢の肩から指先までのしびれについて,14級相当の後遺障害が残存したと認められ,その内容及び程度等から,労働能力喪失率は5%,労働能力喪失期間は5年とするのが相当というべきである。

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